2013年12月30日

ドイツ雑感 その2

(写真: Kenji Rikitake)

もうドイツに旅行してから4ヶ月近く経過しようとしている.忘れないうちに当時の感想を記録しておこう.

英語は一切書かれていないドイツの航空小荷物

最初の写真,いや,伝票の写しはDeutsche Post/DHLのEU域外向け荷物(日本郵便のEMSに相当)の裏面である.ご覧の通り,一切ドイツ語以外の言語は書かれていない.つまり,ドイツ語が読めなければドイツでは生活できないのである.これを当たり前と思うかそうでないと思うかは人それぞれだと思うが,私はドイツ語の教育を受けたことは一度もないので,内容については大体のアタリをつけながら想像を巡らせるしかない.ドイツ語話者の妻の助けがあるとはいえ,これはかなり大変な作業であった.

この伝票については日本から日本郵便で小形包装物あるいはEMSを送ったことがあれば難しくはないのだが,要するに税関申告書(Zollinhaltserklärung)にもなっているのでその部分を書かなければならない(この内容は英語でOK).ドイツ語localeのせいで小数点がコンマになっていたり(英語以外の言語ではコンマである方がむしろ一般的)するのはまだご愛嬌だが,このZollinhaltserklärungという単語が実は「Zoll 税関 + inhalts 内容物(属格,「〜の」)+ erklärung (説明)」という複合語になっているというのを見抜かなければならないのがかなりの苦痛だったりする.

伝票の表書きも示しておこう.Paketkarte CP71というのがそうだ.妻宛にしてある.プライバシー保護のため一部白抜きにしてあるのはご容赦いただきたい.こちらは万国郵便条約に則り,ドイツ語とフランス語でしか書かれていない.英語はこの面にも一言も書かれていない.幸いフランス語は多少読めるのでこちらの内容を読むのには不自由しなかった.日本郵便も同様の伝票を使っているので,内容については対応付ければ理解できるだろう.発送日が日-月-年の欧州標準になっていたり,通貨単位が数字の後に付くのは,これもまたドイツ語locale所以である.繰り返すが,英語はどこにも書かれていない.

法人納税番号が領収書にも書いてあるドイツ

次はドイツでもらったレシートである.これらにも英語はどこにも書かれていない.Thalia.deというのはブレーメンの書店で,KaDeWeはベルリン有数の百貨店である.Steuernummer(納税番号)というのがそれぞれの領収証には必ず記されている.日本も現在「社会保障と税に関わる番号制度」あるいは「番号法」の施行に向けて準備が進んでいるが,こんな感じになるのかと思っている.ドイツの付加価値税は7%または19%の二通りであり,生活必需物資として認定されたものは7%になるが,その区別は必ずしも明確ではないようだ.

ちなみにThaliaで買ったのはシステム手帳のリフィル,KaDeWeで買ったのはお茶(紅茶)である.

自動販売機は動くと思ってはいけない

ドイツの自動販売機では苦労した.ベルリンのTegel空港(TXL)では,ミネラルウォーターの自販機が壊れているにもかかわらず何も表示がされていなかったため,みすみす数ユーロを損してしまった.近場のバーに人が並んでいたのはそういう理由だったのだ.人間の方が自販機よりも信頼性が高いというのがドイツ社会の常識なのだろう.(帰国の際TXLでは自販機だけでなくトイレまで一部修理中なのには参った.)

幸い市電や地下鉄の券売機でハマることはなかったが,硬貨を数えるスピードが遅く,1枚ずつ入れてそれぞれが問題なく認識されるのを確認しないといけないのは参った.北米でも自販機が壊れているのは珍しくないのでその意味では驚きはなかったが,日本のようにうまくいくと思ってはいけない.

オルデンブルクとブレーメンを往復する際も,数十ユーロというかなりの高額な支払いにもかかわらず,Deutsche Bahnの券売機の反応速度が遅くて,非常に困った.英語表示に切り替えることはできるのだが,それだと何が書いてあるのかわからず,結局ドイツ語の表示を読みながら買わざるを得なかった.

東京とベルリンとの人の流れの違い

今回はベルリンに長く滞在したのだが,大都市であっても東京ほどピリピリした感じはない.各自勝手な速度で,勝手に歩いている.大阪や京都も東京に比べて人の歩く速度にバラツキが大きく妙に邪魔な感じがしてイライラしてしまうのだが,ベルリンの場合はあまり混んでいないせいか,追い立てられる感じはあまりなかったように思う.鉄道にも乗ったが,エレベータの前では皆我慢強く並んでいる.単にノンビリしているというのとは違う感じを受けた.やはり日本の大都市は人口密度が高過ぎるのであろう.

いずれまた続きを書くこともあるかもしれないが,まずはここまで.