(写真: 筆者の発表前の様子,原 陽亮さん撮影)
2013年2月にBashoジャパンで仕事を始めてから,それまでとは打って変わって忙しい日々を過ごしている. 寝る時間と食事の時間以外は(通勤時間は激減したものの)移動しているか,新しい仕事の手順を覚えているか,物書きかコード書きかテストかサポート対応をしているか,あるいは人前で話をしているか会議をしているかという状況である. それまでやっていなくて苦労したことは無数にあるのだが,とり急ぎいくつかかいつまんで並べておくと
- Riak
- Amazon AWS S3
- AppleのMac関連製品とOS X
- 日本深夜の電話会議
- BlueToothの音声デバイスの使い方
- GitHub
- Google Drive
- OS X用のMicrosoft Office Suite
- Vagrant
- ゴリゴリのErlangコード読み(これに関してはまた稿を改めて説明したい)
- DTrace
…などなど,自分のスキルセットがいかに不完全で,研究者気取りの過去12年間はサボってばかりいたことが丸分かりである.反省している暇はないので,とにかくやるしかないのではあるが.
本論に入る.
2013年3月21日〜22日まで,米国サンフランシスコにて Erlang Factory SF Bay Area 2013の会議に参加してきた. 自分はアマチュア無線とRiakというおよそニッチなネタでの発表もしてきた. Erlang Factory SF Bay Areaへの参加は連続して4回目になる. この会議はどことなく「祭」の性格が強い. 特に昨年ダウンタウンのホテルに移動してからは,夜のErloungeが結構強烈で,皆ひたすら話し込むという大宴会の様相を呈していた.
今回は2011年の私の発表中に火災報知器が誤作動して全員一時退避した事件に続き,Erlounge中に火災報知器が誤作動してホテル内滞在者は全員屋外に退避するという,珍事が発生した. もっとも2011年のホテルでは地上階で発表をやっていたので退避は容易だったのだが,今回は11階の宴会場から退避せねばならず,全員真剣に階段を降りて行った.ホテル内には年配の宿泊者の方々も多いため, 移動は粛々とかつ整然と行われた.このへん騒ぎにならないところはさすがである.とはいえ,消防車が安全を確認した後,消防士と写真撮影をしていた人達がいたのには驚いたが. 観光客,あるいは居住者や市民への広報活動ということなのだろうけど,日本ではあまり考えられない光景である.「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉があるが, もはやこの会議では火災報知器の誤作動が伝説と化してしまった感は否めない.(さる本の筆者は安全確認終了後,再び宴会場に戻って飲み続けたとか….)
この会議,日本語母語話者かつ英語非母語話者である参加者が非常に少ないのが残念である.2010年は2人,2011年は3人,2012年は私1人,そして2013年は私,同僚であるBashoジャパンのリードエンジニア上西さん, OpenXの田中さん(米国在住),楽天研究所の原さんと4名しか確認できていない.日本からSFOは決して遠くはないし,Talkの質も内容も非常に濃いので,Erlang/OTPビジネスの動向を掴みたい人達は是非参加することを お勧めする.今年は本会議以前にもRaspberry Piで動かすErlang/OTPのチュートリアルや,OTPやRiakのトレーニングなど,楽しい企画はたくさんあったので,1週間滞在しても損はないだろう.
ところで今回は会議場から南に数ブロック下がったMarket St.の靴屋さんに同居しているBashoWest (Basho Technologies San Francisco office)で仕事をしていた. (階下にはimgur.comを運営するImgur, LLCのオフィスがある.) ここは大学の部室のような雑然としたオフィスであり,特に勤務時間の制約もなく,およそ日本の大企業のそれとはかけ離れた世界であったが, 皆真剣に仕事をしていて,活発な議論と雑談が行われていたことを記しておく.滞在中はScott Fritchieをはじめ,多くの米国の同僚に世話になり,充実した時間を過ごせた. これだけ密度の高い海外出張は人生初体験であり,いささか身体的には疲れたが,仕事はこうやらないといけないということを今さらながら実感している.